令和5年SMI雑感

4月 肩の手術はとにかく痛いですよ!?
3月 リーダーの品格T
2月 悩みに対する戦略を知らないものは若死にする!
1月 急成長した「販売」をやめた販売会社


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《令和5年4月》

  肩の手術はとにかく痛いですよ!? 

 昨年の夏より痛めていた右肩の腱板が断裂し,手術することになった。新潟市の江南区にある亀田第一病院に4月11日に入院し翌12日に手術となった。2時間ほどの手術だった。全身麻酔だった。午後2時に看護師の「麻酔を入れます」の一言から2時間後の午後4時の「小杉さん手術は終わりましたよ」の一言迄、全く記憶はなく全ては終わっていた。
 
 その手術の夜は体中に点滴の管や、心電図の配線、血圧の測定器が張り巡らされており、全く身動きがとれない状態で一晩中「うーうー」と唸っていた。全身を縛られる苦しさには言葉に表せないものがあった。妻が5年前、やはり同じ病院で右腕の良性の腫瘍を除去する手術をしていた。その時に同じ状態を経験していた。「あれは拷問と同じ。私はあの痛みを経験するのなら死んだほうがまし。もう絶対に手術はしない」といっていたのを思い出し、その時は少しオーバーだなと笑って聞いていたのだが、私もその言葉を否が応でも納得せずにはおれない状態になっていた。人間は経験しないと絶対に分からないことがあることをあらためて思い知らされた。

■「肩の手術はとにかく痛いですよ」!?

私の痛みは同じ手術を受けた人達とは少し違っていた。同じ病棟には、同じ手術を受け腕を固定するための装具をつけた患者が大勢おられた。そしてその人達のほとんどが手術後も「とにかく痛くて痛くて」「二週間経っても中々痛みが取れなくて」と言っていた。ところが私は右肩の痛みは手術をした翌日よりほとんど無かった。確かに私も手術前に「とにかく肩の手術は痛いですよ」という言葉を、主治医の先生、看護師、リハビリの先生に何度も、何度も聴かされていたので覚悟をしていた。しかし手術後からあまり痛くない状態だったので、正直拍子抜けした。手術後の診察や検査の度に看護師や先生に何度も「痛くないですか」と聞かれたが、「痛くないです」の繰り返しで少し閉口していた。

 そのことに関しては、手術が非常に上手くいったこともあるが、SMIの目標設定が大いに役立ったと感じていた。手術前に主治医の先生より「手術前にリハビリをきちんとやって断裂した筋肉以外の筋肉を鍛えて、その残った筋肉で手が上がるようにしておくと、手術の時も、また手術後の痛みも大分押さえられるし、治りも早いです。」と言われていた。私はその言葉を信じ激痛でほとんど上がらなかった右腕だったが、手術の一週間前には完全に真上にまで上げられるようになっていた。つらかったが、「手術する前に手を頭上まで上げられるようにして、手術をやりやすい状態に持っていく」との目標を目指して励んだ成果だったと受け止めている。

■楽しいリハビリ、楽しい病室

 またそうしたリハビリがきちんとやれたのには、もう一つ理由があった。この病院でのリハビリが楽しかったのだ。リハビリを指導するスタッフも明るく、皆10年20年と勤めている人が多い。患者の質問に対しても的確な答えが返ってくれる。そしてリハビリ室はいつも笑い声が絶えない場所だった。SMIでも「病気や怪我の治癒力は積極的で前向きな人の方が劇的に上がる」という。正にリハビリ室はそうした場だった。

 また、同じ病室で長く入院されている人より「リハビリの一番偉い人が、リハビリ室の掃除をしていましたよ。凄いですね」というのを聞いた。なるほど、この病院の居心地が良いと感じるのは、この病院ではリーダーシップがきちんと発揮され、マネジメントがきちんと機能しているからなのだなと思った。

 そうした風土は病室にまで影響を与え、集まる患者にまで大きな影響を与える。私は結局、この2週間愉快な患者さん達とお腹がよじれるほどの笑いで毎日を過ごすことができ、本当に楽しい入院生活となった。病院という組織にあっても、スタッフのウエルビーイングが達成されていると、その幸福感がより良い風土を作りそれが患者に伝わりクチコミとなり、より良い成果へと繋がっていた。今回の入院を通して患者目線(お客様目線)でリーダーシップとマネジメントの重要性を肌で感じさせてもらった。

 今回の入院と手術は、人生を考える上でも、マネジメントを考える上でも、とても良い経験となった。 SMI小杉 2023/4/29

 

 

《令和5年3月》

 
        リーダーの品格    

 今年のSMIビジネス塾は、『アメリカ陸軍のリーダーシップ』という本を学んでいる。
メンバーが「数年前に学んだ『武士道』と同じですね」という。私もそう感じていた。この本の中で、兵士がチームのために命を投げ出す場面が何カ所かある。そうした兵士の行為は、「自分自身のあり方を明確にしている者、強い価値観を持っている者。そうした価値観に沿って行動する者。そして自己規律を示す者。」といったリーダーの品格よる影響が大きいと説いている。

 「武士道」を現し日本の精神を世界に知らしめた新渡戸稲造は「武士の教育にあたって先ず第一に必要とされたものは、その品性を高めることにあった。そして、あきらかにそれと分かる思慮、知性、雄弁などは、第二義的なものとされた」と書き、武士道の土台は「品性」にあったと説いています。

 アインシュタインは日本を愛した人でした。1922年に来日した折に「これほど純粋な人間の心を持つ人は何処にもいない。この国を愛し尊敬すべきである。」と言う言葉を残しています。また、「私は色々な国を見てきた。欧州においても、日本人のように落ち着いた華麗さと、威厳を持った国民を見たことがない」とあのペリー提督も語ったと言われます。皆、日本人に品性を見たと言われています。

■品性はどこで、どうしたら磨けるのか?

 では、そうした品性はどこで磨き、どう磨くのでしょうか。
品性を磨く場は、修行のための禅寺や,滝に打たれるといった特別な場で磨くものではありません。品性は、日常の規則正し生活を、自己を意識しながら、職場、家庭で常識を磨くことによって身につけていくものです。

 箱根駅伝の常連となった青山学院大学陸上部は、原監督が就任した当時は廃部寸前のチームだった。そこで原監督が先ず初めにやったのが規則正しい生活22時就寝,5時半起床といった当たり前の生活をきちんと送ることだった。そうした生活を始めると選手達はあっという間に自己新記録を出すようになっていったという。

 そして、品性が最も明確に表れるものに「言葉」があります。品性があるかどうかは自分では中々分からないものだが、自分が使っている「言葉」で知ることができる。人間は「言葉」で人生を創っていく。汚い言葉、下劣な言葉を使っていれば、当然、自分も人をも、不快にさせる人生を送ることとなる。また高潔で、人を敬する言葉を使って人生を送れば、人を勇気づけて、社会に貢献する人生を送ることとなる。

 そのように人は、自分でどういう言葉を使うかを選びながら、自分の運命を決めている。そうした意味でもポール・J・マイヤーのいう通り、自分の人生は自分でつくるものといえるのです。

■品性が運命を決める

 以前にも紹介しましたが、SMI創立者ポール・マイヤーは『名声は霞であり、人気は偶然であり、富は翼をつけている。ただ一つ永続するものは品性である。』というホウレイス・グリーリーの言葉を引いて人間は品性しか残せないことをいいました。
そして「◆考えの種を蒔けば行動を刈り取り、◆行動の種を蒔けば習慣を刈り取り、◆習慣の種を蒔けば品性を刈り取り、◆品性の種を蒔けば運命を刈り取る。」と言い、品性が運命を決定するといいました。そのためにも心構えを磨き続けることの重要性を説いていたのです。 SMI小杉(2022/3/28)

《令和5年2月》


悩みに対する戦略を知らないものは若死にする!
 
 3年間のコロナパンデミックもやっと明かりが見えてきた。しかし、現代人にはそうしたコロナ騒動やウクライナ戦争で、心理学でよく語られるストレス耐性能力、レジリエンスが必要になってきている。

 一休和尚の逸話がレジリエンスを与えてくれる。84歳でなくなった一休さんは、死の床について弟子達に「本当に困ったときこれを開けなさい」と1通の手紙を残した。そして数年が過ぎ、寺で困ったことが起きた。そして手紙を開けてみた。そこにはこう記されていた。「どんな時も大丈夫、なんとかなる」という一言だった。
 この逸話とその一言ほど、レジリエンスを喚起してくれるものはない。

■「問題に対する戦略を知らないものは若死にする」

 数年前に、SMIビジネス塾で学んだデール・カーネギーの『道は開ける』はレジリエンスの開発に役立つ一冊だ。
 先日、3年間のコロナ騒動で大苦戦されたM化粧品店のM社長が「『道は開ける』は、今の厳しい状況の中にあって、とっても役立っています。今は将来を憂えず1日1日生きることにしています」と言われた。その『道は開ける』には、ノーベル医学賞受賞者アレクシス・カレル博士の「悩みに対する戦略を知らないものは若死にする」という言葉が紹介されている。

 この言葉の通り、私も若いときよりこの『道は開ける』に何度も救われた。先日も、我が社の会計処理でやっかいな問題に直面した。その時に考えたのが『道は開ける』の第4章「悩みの分析と解消法」だった。

@問題点は何か 
A問題の原因は何か 
Bいくつかの解決策がある。それはどんなものか? 
C望ましい解決法はどれか?


 私は3通りの解決法を考えた。結局は会計に対する知識が不足していることが一番の原因にではという思いに至り、徹底して調べた結果、問題は全くないことが分かりホッとした。
 やはりこの本で述べられている通り、悩みの90%は決して起きないものだとあらためて思った。

■レジリエンスに役立つ対処法

 今、私はレジリエンス(※ストレスの耐性能力)を発揮する上で下記の3つのことが特に大切と考え実践している。

1、今日1日の区切りで考える

 イギリスの作家ロバート・ルイス・スティーブンソンは全く売れない時期があり、自死をも考えたことがあった。しかし、「自分の荷物がどんなに重くても、日暮れまでなら誰でも運ぶことができる。自分の仕事がどんなにつらくても1日なら誰でもできる。太陽が没するまでなら誰でも快活に辛抱強く、親切に、貞淑に生きられる。これこそが人生の秘訣そのものだ」という考えをもって生活し、売れっ子作家となっていった。

2、平均の法則で悩みを締め出す

 『道は開ける』の著者デール・カーネギーは少年の頃、自分は雷に打たれて死ぬのではと悩み続けていた。しかし一年間で雷に打たれて死ぬ人は35万人に1人という平均の法則を知り、自分の悩みの90%は起きないことを悟ったと書いている。

3、事実の把握と分析をしっかりする

 「私には仕えるしもべが6人いる。私の知っていることは全部彼らが教えてくれたのだ。彼らの名前は『なに』『なぜ』『いつ』『どのように』『どこで』『だれ』だ」 ラドヤード・キプリング
前記の我が社の会計処理の問題も、この六人に質問し事実の把握と分析で解決することができた。

 前出のM社長は「SMIイズムを土台にして『道は開ける』を学ぶと、本当に勇気が湧いてきますね」と言われる。その言葉のとおり、それらは「10(※SMIイズム)×10(※道は開ける)」となり、その学びと実践は、私に100培いや、1000培にも10000倍にもなる力を与えくれて、必ず問題を解決し、この道を切り開いてみせるぞという勇気を与えてくれる。(SMI 小杉) 2023/2/28



《令和5年1月》

  急成長した「販売」をやめた販売会社

 明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

 ここ数年ビジネス塾で学び続けている、マネジメントの父ピーター・ドラッカーは「企業の目的として有効な定義は一つしかない。顧客の創造である」と説く。しかし、私自身もそうだったが、多くの経営者がこの言葉を聞くと、営業に力を入れる事と勘違いしてしまう。顧客の創造とは単に営業力を高める事では決してない。よくある事として営業に力を入れることで、返って自社の顧客のことが見えなくなり、よく理解できない状況に陥る。結果的に経費ばかり増えて業績を落としてしまうというケースも多い。

■営業することでなく、ファン作りこそがマーケティングだ!

 ドラッカーは「企業の目的は顧客創造である。したがって企業は基本的機能を二つ持つ、それが『マーケティング』と『イノベーション』である」という。ここでいうドラッカーの「顧客」とは単なる得意客ではない。その会社・店を愛して贔屓にしてくれるファンを作っていくことをいう。そうした自社のファンを作っていくには、顧客を中心にして、顧客は何を求め、何に価値を感じ、何を尊ぶのかといった「問い」を続け、顧客を知り尽くすことが最重要な鍵となってくる。これは社員の獲得と定着も全く同じだ。経営者が「彼は何を目的として我が社にきてくれたのか?」「何を喜びとして一緒に働き続けてくれるのか?」と、問い続け、社員一人ひとりを知り尽くすことがやはりその鍵となっていく。
 
 そこで今回は、そうしたことをSMIとドラッカーを学びながら実績を上げておられる二つの会社を紹介させて頂きます。

■「『売る』ことをやめたら、全てが上手くいくようになったんです」

 昨年末、新潟市中央区のSMIクライアントのS社長に、今期のテキストをお届けした。S社長はSMIビジネス塾に10年ほど毎年皆出席でご参加頂いている方だ。その際に「お陰様で、うちは今年、会社創立以来の収益を上げることができました」と言われた。S社長は建築と不動産の販売を手がける会社を経営されている。

 S社長は、「10年以上前迄は、ウチは営業成績中心の『営業販売』をガムシャラにやっていたんです。しかし何年続けてもこれでは会社は駄目になるという思いの毎日でした。そうした時、SMIのマネジメントプログラムを採用したことも一つのきっかけとなり、営業することを一切やらないことにしたのです。『とにかく皆でお客さんの困ってることを中心に、お客さんを手助けする気持ちで仕事をすることに徹しよう。それから関係する全ての人が喜ぶ仕事をしよう』と動き始めたのです。そうしたら程なくして、全てがうまく回転し始めたんです。ドラッカーのいうとおりで、本当にお客のためにと思ってやっていると利益というものは必ずついてくるものなんですね」と仰る。
 
また、「売ることをやめた今は、『相見積もり』もありませんし値引きを言われることはありません。営業に力を入れている頃は、『相見積もり』が当然で、赤字覚悟や、利益の出ない契約もよくありました。それと営業を仕掛けて取ったお客様というのは固定客になる人も少なく。尚かつクレームが多く、いつもその対処に多くの時間を取られていました。でも今はお客様より選んでいただいている仕事なので、この3年程はクレームが一つもないのです」
 精神的にも肉体的にも『売る』ことをやっていた時よりずっと余裕ができて、社員の退職もなくなり。社員間の信頼関係は以前にまして強固になったという。
K社は、正にドラッカーが説いた「マーケティングと販売は正反対のものであり、重なり合う部分さえない・・・。マーケティングの理想は、営業を不要にすることである・・・」のロールモデルとなる会社となっている。

■「独立した社員までが、新しい社員を連れてきてくれました」

 三条市で長年建築業を営むE社も「売らない経営」を貫いて、実績を上げておられる。今年も対前年を大きく上回る実績を上げいる。E社は長年社員を中心としたSMI社内塾を、組織作りと人材育成に活かして来られた。

 今、E社では最も人手不足が深刻な建築業界にあって、ここ数年人の募集はしていないという。していないというより必要ないというのだ。それは、社員が社員を連れてくる会社になっているからだ。(※社員の半数以上が社員が連れてきた)
 年末に伺った際には「先日、仕事をしたいという人間と面接したんです。その人はウチから3年ほど前に独立した人間が『業界で働きたいならE社が絶対いいよ』と言ってくれたお陰なんです」という。昨年の四月には、10年ほど前にSMI社内塾を始めた時に作った経営理念を、社会貢献と社員中心の理念に刷新した。E社長は「社員とお客様のどちらを取るかと言われたら、社員を取ります」ときっぱりと言い切られる。そして「社員を大事にしていると、社員もお客様を大事にしてくれるんです」という。この言葉はSMIのマネジメントプログラムのポール・マイヤーの言葉と重なる。
 それが販売中心で仕事に追われている以前は、社員をどこかコマのように思い、軽んじてしまっていた。そのため人手不足が常態化していて、いつも募集を掛けなければならない状況になっていた。

 上記二社の話は、『営業を必要としない経営』『人材不足に陥らない経営』ということで、今年、多くの会社が目指すべき姿を明確に示してくれている。お二人の経営者共に、SMIに対しても、ドラッカーの学びに対しても真摯に、素直に向き合っておられる。そうした姿勢に私自身も学ばせてもらっている。新し年は、我が社にとっても大きなイノベーションの年となる。そうした変化を楽しみながら、昔から縁起の良い干支といわれる「卯年」を“ピョ−ン”と軽やかに跳ねる飛躍の年としたいものです。

 末筆になりましたが、新しい年が皆様に取られましても尚一層の飛躍の年となりますこと御祈念いたしております。   令和五年 初春


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